Best of 2012 #8 - Masabumi Kikuchi “Sunrise”
昨年の11月に逝去したポール・モチアンが参加した最後の録音・・・というキャッチフレーズが今後もつきまとうだろうが、正直、本作における最大の魅力は菊地雅章の縦横無尽に広がる独創的なピアノにある。次々と予測不能なメロディを繰り出しては、リスナーをからかうように先へ先へと進んでいく。必死で食らいつくモチアンやベースのトーマス・モーガン。そう・・・これがインタープレイだ。即興で生まれるジャズは、何もかもがパソコンでプログラミングされる現代においては化石のような立ち位置だ。それでも、研究熱心な学者のように、音楽へのあくなき探求心は必ず成果を生むということを忘れてはならないだろう。このピアノトリオによる傑作は、僕が初めて菊地の音楽に衝撃を受けた17人編成の『Susto』(81年)と変わらぬスリルで溢れている。
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