前作『homely』が各方面から絶賛されたからてっきり多楽器路線に行くのかと思いきや、評論家とファンの期待をわざと裏切るようなかたちで淡いサイケデリアに回帰した5枚目。この若さでゆらゆら帝国の不在を完全に埋めるアルバムを出してくるとは・・・この国のロック・バンドもまだまだ捨てたもんじゃない。テーマ性が重視されているようだが、絶妙なテンポ感が白眉の先行シングル「夜の船」を始め、AORを意識させるファンキーな「すべて大丈夫」、得意のクラウト・ロックを深化させた表題曲「100年後」など個々の曲でも充分楽しめる。ゆら帝がそうであったように、人生を虚構として認めた上で、そこに芸術としての価値を与えていくという感性は日本独自のものであるように思う。オーガがそういった表現の担い手として今後も重要な役割を果たしていくことは、本作を聴く限り間違いなさそうだ。
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