2012年7月23日月曜日

Song of the Week




界中から絶賛された前作から2年。新作に先駆け久しぶりにリリースされた新曲は、アリエル・ピンクがただのヤク中ではなく、紛れもない天才であることを証明する名曲となった。ローファイな演奏やアリエルの人を食ったようなふざけた歌い回しは相変わらずだが、ハーモニーを効果的に取り入れ、ビーチ・ボーイズさえ連想させる恐ろしく完成度の高いポップソングに仕上がっている。そのメロディもギターフレーズも一瞬にして耳を虜にする上に、きちっと3分間に収められているところに職人技を感じられずにはいられない。

しかし、ビーチ・ボーイズとの決定的な違いは、それが計算によるものなのか天性のセンスによるものなのか全くわからないところだ。なにせ、ドラッグと酒に溺れたこの倒錯者は、こんな素晴らしいポップスを作りながら、ライブでは不機嫌になって逃走したり、9.11をテーマにした意味不明な組曲を作ったりするのだから。その余りにも支離滅裂なキャラクターはしかし、USインディーシーンにとっては欠かせない存在となっている。彼をカート・コバーンに重ね合わせてしまうのも僕だけではないだろう。2000年代における「最後のカリスマ」という称号さえ遠くないとさえ思えてくる、そんな曲だ。

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