今年、もっとも前向きだった一枚。スタイル的にはボーカルを多用した前作 “Quarantine”以前の状態に戻っているかのように思えるが、その研ぎ澄まされた集中力によって実験性を一段と強めながら、ダンス・ミュージックとしての強度を高めることにも成功している。驚くべきなのは、複雑に聞こえる音の重なりも分解していくとキーボードとドラムマシンに集約されること。つまり、アナログな手法で電子化され尽くした現在の音楽の最先端を走っているのだ。強烈にグルーヴする
“Ainnome”からピアノソロ小品 “-Out”への洗練された流れには、若干2枚目のフルアルバムにして風格すら漂う。彼女の父が描いたという不気味なアートワークも、カオスと秩序が共存するこの作品の世界観によく合っている。
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