アートワークを見比べれてみれば、その違いは明らかだろう。ポストロックの代名詞として、今もなお国内外から絶大な支持を集める『the book about my idle plot on a vague anxiety』では、じっと先を見つめるシカの鮮明な写真が使用されている。それはその後のポストロックのイメージを決定付けたと言っても過言ではないだろう。森、風、動物・・・よく「エモーショナル」と形容されるが、人間が暮らす社会とは切り離されたこれらのイメージが抽象化され、ポストロックと呼ばれるバンド側の音作りに少なからず影響を与えているのではないだろうか。
それが新作『The Future Is Now EP』ではどうだろう。真っ黒な鶏の頭部と少年を合体させた不気味な存在が教会の前で曲がったスプーンを握っているという、かなり意味深なアートワークになっている(アーティストの高木耕一郎が担当)。曲の方も、2009年作『For Long Tomorrow』から導入し始めたエレクトロニクスをさらに大々的に投入し、各パートの存在感よりも全体の空気感を意識した音作りへと向かっている。
左から: 『裏アンビエント・ミュージック1960-2010』/『マイルス・デイビス―没後10年 (KAWADE夢ムック)』 /『MUSIC MAGAZINE (ミュージックマガジン) 2012年 04月号/『美術手帖 総力特集/アンディ・ウォーホル 1987年6月号』/『200CD ブラック・ミュージック (立風書房200音楽書シリーズ) 』/ビル ハークルロード、ビリー ジェイムス『ルナー・ノーツ―キャプテン・ビーフハート』/城山 三郎『小説日本銀行』/H P Lovecraft『The Colour Out of Space (Penguin Mini Modern Classics)』/バティスト・ブランシェ/チボー・フレ・ビュルネ『ジダン』/Gabriel Garcia Marquez『One Hundred Years of Solitude』/Edward St Aubyn『At Last.』/Hilary Mantel 『Bring Up the Bodies 』