2012年11月11日日曜日

Brian Eno "Lux"


こ1、2年でアルバム自体は積極的に発表していたものの、純粋なアンビエントとしては実に久しぶりの作品だ。

驚くことに、僕が今作を聴いて最初に思い浮かべたのはコーネリアスだ。水滴のように弾けては消えるピアノの音が縦横無尽に展開され、その背後ではビブラートの効いたストリングスが鳴っている…これはSalyu Salyuじゃないか(もっとも、コーネリアスはイーノ影響を受けているので当たり前だと言われればそうなんですが…)!

過去のアンビエント作品との違いも目立つ。例えば95年の代表作『ミュージック・フォー・エアポート』では核となるフレーズを形を変えながらループさせていくことが、彼にとっての環境音楽であった。今作ではそういったフレーズはなく、かつてないほど自然に、つまりイーノ自身の手を離れたところで音が鳴っている。

そう…今回イーノが提供したのは音楽そのものではなく、音楽の再生装置だと受け止めるべきだろう。実際、今作を聴き終わったあとの感覚は、まるで天気のようにコロコロ変わってしまう。もちろん、それは環境音楽という意味では理想のかたちだ。イーノは今も環境音楽を貪欲に探求し、進化を続けていることを実感させる一枚。



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