2012年11月23日金曜日

11月のプレイリスト


1. f(x) "Hot Summer"



2. Björk - Mutual Core (These New Puritans Remix)

3. Robert Glasper Experiment "Dilladude #2"

4. Wayne Shorter "Tarde"

5. 山下達郎 "Sparkle"

6. Lana Del Rey "Cola"

7. Friendly Fires "Why Don't You Answer"

8. Tame Impala "Why Don't They Talk To Me?"

9. Evade "Crush"

10. Kendrick Lamar "Bitch, Dant Kill My Vibe"




2012年11月17日土曜日

ペトロールズ "Problems" は最高傑作か





思えば、東京事変の最大の功績はペトロールズというバンドの存在を世に知らしめたことなのかもしれない。こんなにセンスの良い音楽がまだこの国に隠れているのだという事実は、僕を含めた多くのリスナーにとって希望をもたらした。しかし、ライブで演奏された初期の代表曲をビデオカメラで録音したというあまりにもふざけた最初の正規リリースは当然音質的な問題があり、彼らの才能の片鱗を覗かせるだけにとどまった。その約1年後、初めての正式なスタジオ盤として期待されたミニアルバム『EVE 2009』は過剰なプロダクションが足かせとなり、全く逆の理由で失敗に終わった。ではライブが素晴らしいかと問われれば、必ずしもイエスと即答できないのは実際に彼らの演奏を聴きに行ったことがある人ならばわかるはずだ。結局、彼らはどこまでもマイペースでややこしい連中であり、そのある種アナーキーな態度が多くの支持を得ているのもまた事実だろう。

しかし、ライブ会場限定販売となった前作『Capture 419』はその完成度の高さで多くのファンの度肝を抜いた。トリオとしての魅力をそのまま残しつつ、ヘッドフォン越しでも聴ける音質に仕上げたからだ。まぁつまり・・・普通のライブ盤。これで良かったのである。音源としてのリリースが長らく待たれていた「27時」なども文句なしの出来。その後、新しいスタジオ盤が正式に発表されたことで、「普通のバンドになった」彼らへの期待はますます膨らんだ。

さて、その結果はどうだったか。結論から言えば、『EVE 2009の問題だったオーバープロダクションが今回も足を引っ張っていると言わざるを得ないだろう。『Capture 419』に既に収録されている「誰」「ASB」は幾重にも重ねられたフレーズが3ピースならではの緊張感を削いでしまっている。ひとことで言えば、隙間がない。つまり、彼らの魅力である「余裕」が感じられないのだ。

もっとも、特筆すべき点はいくつかある。「エイシア」や「止まれ見よ」でのギタープレイは、浮雲の才能と誠実さを改めて認識させる名演だ。曲は「ホロウェイ」のように一瞬にして耳にこびりつくようなキャッチーさには欠けるが、このバンドならではの巧妙な展開とコーラスワークが光っているものばかりだ。やはり、普通のバンドではない。そのひねくれた個性がプロダクション面で裏目に出てしまったことが悔やまれる。


2012年11月11日日曜日

Brian Eno "Lux"


こ1、2年でアルバム自体は積極的に発表していたものの、純粋なアンビエントとしては実に久しぶりの作品だ。

驚くことに、僕が今作を聴いて最初に思い浮かべたのはコーネリアスだ。水滴のように弾けては消えるピアノの音が縦横無尽に展開され、その背後ではビブラートの効いたストリングスが鳴っている…これはSalyu Salyuじゃないか(もっとも、コーネリアスはイーノ影響を受けているので当たり前だと言われればそうなんですが…)!

過去のアンビエント作品との違いも目立つ。例えば95年の代表作『ミュージック・フォー・エアポート』では核となるフレーズを形を変えながらループさせていくことが、彼にとっての環境音楽であった。今作ではそういったフレーズはなく、かつてないほど自然に、つまりイーノ自身の手を離れたところで音が鳴っている。

そう…今回イーノが提供したのは音楽そのものではなく、音楽の再生装置だと受け止めるべきだろう。実際、今作を聴き終わったあとの感覚は、まるで天気のようにコロコロ変わってしまう。もちろん、それは環境音楽という意味では理想のかたちだ。イーノは今も環境音楽を貪欲に探求し、進化を続けていることを実感させる一枚。