2012年12月16日日曜日

Best of 2012 #10 - Jessie Ware "Devotion"


ップス業界ではエイミー・ワインハウスの他界、新たなディーヴァとしてのアデルの台頭、リアーナの虐待問題・・・などが大いに騒がれた1年だったが、ダブステップが好きなイギリス人は全く別の女性シンガーの登場に熱狂していた。その名はジェシー・ウェア。デビュー作となる『デヴォーション』では新人とは思えない凄みのあるボーカルを披露している。ダブステップを基調としたサンプリングと生楽器の絶妙なバランスも素晴らしく、シャーデーがアップデートされたような“Running”、ジェイムス・ブレイクを意識した“Taking in Water”など大物と比較しても引けを取らない楽曲がずらりと並ぶ。方向性が定まらない女性アーティストが次々と流行りのクラブ・ミュージックに手を出す中、自身の手で唯一無二の世界観を展開したモダンR&Bの傑作。

2012年12月1日土曜日

Single of the Week




っぽい曲ということで、ショコラ&アキトの最新作から先行シングル『扉』を。一見フワフワしているように見える夫婦だが、楽器やコーラスの凝り具合からは容赦のないミュージシャンシップがうかがえる。めくるめくメロディの展開はまさに職人技。「閉じた扉は/無理にこじ開けず/執着しないで」といった潔い言葉は、夫の片寄明人のバンド、GREAT 3の新作『GREAT 3』で展開される死と隣合わせの歌詞と表裏一体の関係。何度も味わいたくなる一曲だ。


2012年11月23日金曜日

11月のプレイリスト


1. f(x) "Hot Summer"



2. Björk - Mutual Core (These New Puritans Remix)

3. Robert Glasper Experiment "Dilladude #2"

4. Wayne Shorter "Tarde"

5. 山下達郎 "Sparkle"

6. Lana Del Rey "Cola"

7. Friendly Fires "Why Don't You Answer"

8. Tame Impala "Why Don't They Talk To Me?"

9. Evade "Crush"

10. Kendrick Lamar "Bitch, Dant Kill My Vibe"




2012年11月17日土曜日

ペトロールズ "Problems" は最高傑作か





思えば、東京事変の最大の功績はペトロールズというバンドの存在を世に知らしめたことなのかもしれない。こんなにセンスの良い音楽がまだこの国に隠れているのだという事実は、僕を含めた多くのリスナーにとって希望をもたらした。しかし、ライブで演奏された初期の代表曲をビデオカメラで録音したというあまりにもふざけた最初の正規リリースは当然音質的な問題があり、彼らの才能の片鱗を覗かせるだけにとどまった。その約1年後、初めての正式なスタジオ盤として期待されたミニアルバム『EVE 2009』は過剰なプロダクションが足かせとなり、全く逆の理由で失敗に終わった。ではライブが素晴らしいかと問われれば、必ずしもイエスと即答できないのは実際に彼らの演奏を聴きに行ったことがある人ならばわかるはずだ。結局、彼らはどこまでもマイペースでややこしい連中であり、そのある種アナーキーな態度が多くの支持を得ているのもまた事実だろう。

しかし、ライブ会場限定販売となった前作『Capture 419』はその完成度の高さで多くのファンの度肝を抜いた。トリオとしての魅力をそのまま残しつつ、ヘッドフォン越しでも聴ける音質に仕上げたからだ。まぁつまり・・・普通のライブ盤。これで良かったのである。音源としてのリリースが長らく待たれていた「27時」なども文句なしの出来。その後、新しいスタジオ盤が正式に発表されたことで、「普通のバンドになった」彼らへの期待はますます膨らんだ。

さて、その結果はどうだったか。結論から言えば、『EVE 2009の問題だったオーバープロダクションが今回も足を引っ張っていると言わざるを得ないだろう。『Capture 419』に既に収録されている「誰」「ASB」は幾重にも重ねられたフレーズが3ピースならではの緊張感を削いでしまっている。ひとことで言えば、隙間がない。つまり、彼らの魅力である「余裕」が感じられないのだ。

もっとも、特筆すべき点はいくつかある。「エイシア」や「止まれ見よ」でのギタープレイは、浮雲の才能と誠実さを改めて認識させる名演だ。曲は「ホロウェイ」のように一瞬にして耳にこびりつくようなキャッチーさには欠けるが、このバンドならではの巧妙な展開とコーラスワークが光っているものばかりだ。やはり、普通のバンドではない。そのひねくれた個性がプロダクション面で裏目に出てしまったことが悔やまれる。


2012年11月11日日曜日

Brian Eno "Lux"


こ1、2年でアルバム自体は積極的に発表していたものの、純粋なアンビエントとしては実に久しぶりの作品だ。

驚くことに、僕が今作を聴いて最初に思い浮かべたのはコーネリアスだ。水滴のように弾けては消えるピアノの音が縦横無尽に展開され、その背後ではビブラートの効いたストリングスが鳴っている…これはSalyu Salyuじゃないか(もっとも、コーネリアスはイーノ影響を受けているので当たり前だと言われればそうなんですが…)!

過去のアンビエント作品との違いも目立つ。例えば95年の代表作『ミュージック・フォー・エアポート』では核となるフレーズを形を変えながらループさせていくことが、彼にとっての環境音楽であった。今作ではそういったフレーズはなく、かつてないほど自然に、つまりイーノ自身の手を離れたところで音が鳴っている。

そう…今回イーノが提供したのは音楽そのものではなく、音楽の再生装置だと受け止めるべきだろう。実際、今作を聴き終わったあとの感覚は、まるで天気のようにコロコロ変わってしまう。もちろん、それは環境音楽という意味では理想のかたちだ。イーノは今も環境音楽を貪欲に探求し、進化を続けていることを実感させる一枚。



2012年10月27日土曜日

Twinsistermoon "Bogyrealm Vessels"


ランスのデュオ、Natural Snow Buildingsの片割れであるMehdi Amezianeによるアンビエント・フォーク。近年においては自宅で音楽を作ることが容易になったことや、新しい音楽をネットで探すという習慣がある程度普及したことから、こうしたマイナーなソロ・プロジェクトでも注目を集める例が目立つ。しかし、ドローンやアンビエントといったジャンルは特に音楽の知識を必要としないということもあり、その殆どはコードの名前すらわからないような素人ばかり。そんな中、Twinsistermoonの音楽はとても魅力的だ。それは、彼女が自身のパーソナルな部分を音楽にする才能があることだろう。

2~3分という短い尺の曲が並べられているが、その一つ一つにストーリーがあると思わせるという点では、とても文学的な音楽だと言えるだろう。それでいて奔放で即興的な要素も感じられる。人生とはこういうものよ、と言わんばかりだ。白眉は彼女が作り出した別世界をくっきりとイメージさせる"The mirror land"。Natural Snow Buildingsのほうはシガー・ロスの宅禄バージョンといった印象だが、このソロ作の方は古本屋で眠っている美しい小説のようだ。





2012年10月9日火曜日

10月のプレイリスト

1. Brian Eno & Laraaji "The Dance #1"

2. Flying Lotus "Me Yesterday//Corded"

3. Miles Davis "Miles Ahead"

4. Outer Space "Vanishing Act"

5. Belong "October Language"


6. Holy Other "Inpouring"

7. Yoko Ono Plastic Ono Band "The Sun Is Down (Cornelius Remix)"

8. ペトロールズ "誰"

9. OGRE YOU ASSHOLE "すべて大丈夫"

10. Porter Ricks "Port Gentil"


今年もアンビエントとジャズがおいしい季節がやってきましたね・・・ということで、1は万華鏡のようキラキラと輝くダルシマーの音色を、3は思わずワインが飲みたくなってしまうマイルスのトランペットの響きをご堪能あれ。アメリカで活動するデュオ、Belongの5も最高のチルアウト。7〜9の邦楽勢は予想通りの実力といったところ。

YouTubeを適当にサーフしてると、きゃりぱみゅもSuperflyも学園祭に合わせてバンド演奏のPVを作ってて萎え。消費されることを前提に曲を作り、CDを出すアーティストってどのような心境で歌っているのだろう・・・